中国留学後に日系企業に現地採用として就業したいが留学中は何をすれば良いのか? また企業側は実際どのような人材を求めているのか? 日本での就業機期間が短いので心配である?
この様な悩みを持っている方はぜひこの記事を最後まで読み込んでみて下さい。
私は2011年9月から5年間中国に滞在しました。中国の北京に1年間留学した後、中国語実践トレーニングを目的に中国人の友人が経営する会社(中国企業建設機械メーカー)に技術系スタッフとして半年間勤務をしました。
その後、人材紹介会社を通じて広州省東莞市の日系大手製造メーカー工場に3年半勤務をいたしました。その時の採用試験と、実際に採用に関わった上司より教えていただいた事を基に現地採用人材に求められるスキルを3つ選出しました。
全て私の経験からの私見ではありますが、これから中国留学から現地採用を目指す方の参考となるはずです。
企業は中国語ビジネスレベルの人材を求めてる
ここであえて語学スキルを挙げたのは知っておいて貰いたいことがあります。「語学はあくまでも仕事上の道具であって、その道具で何ができるのかが重要である」これは留学後に日本の本社で中途採用され中国各地の自社工場に派遣された駐在歴21年の直属上司から採用面接で言われた言葉です。
裏を返すと、中国語がビジネスレベルである事は言うまでもない事! じゃあなたはその中国語という道具を使って何ができますか? という事になります。新卒、第二新卒まではいわゆる所の「中国語を武器に会社に貢献したい!」とアピールしても良いと思いますが、20代後半以上になりますと語学スキルと同様に職歴が重視されます。
私のいた工場には日本語が堪能の中国人幹部スタッフが各部門に所属しておりましたので、中国語のできない駐在員と日本語ができない中国人スタッフとの言葉の橋渡しはそれで十分なのです。
私の場合は中国語検定HSKの資格を所持しておりませんでしたので、1年間の留学と中国国内企業の就業により活きた中国語を身につけた事をアピールしました。
企業によっては「中国語検定HSK5級以上」、「中国語ビジネスレベル」という条件もありますので、在学中に受験して取得しておく方が、就職活動で有利な事は否めません。
企業は専門スキルのある人材を求めている
結論から述べますと、希望する職種が前職と違う場合であれ、“前職でどんなスキルを身に付け、どんな姿勢で仕事対していたか” を履歴書添付の職歴や面接でアピールする事が重要です。
私の場合ですが、会社側が探していた人材は、工場の施設管理部門の責任者として工場内建築、電気、衛生設備(空調、給排水、水処理施設等)の外部保守業者の管理、予防保全、自社点検、小修理、省エネルギーの提案そしてリニューアル工事に伴う施工管理でした。
私は工場やビルの施設管理の経験はありませんが、電気通信設備の施工、施工管理、保守の経験が9年間ありましたので、職歴が工場長の御眼鏡にかかり採用面接に向けての書類選考に合格しました。
工場では生産管理を任される求人が多いですが、同僚の日本人の職歴は商社の営業、証券会社等異業種から参入しております。入社後に工場長から聞いた話になりますが、「実務をとおして、専門スキルとマネジメントスキルを身につけた30歳前後の若手が40代になったとき、会社の主軸がよりしっかりする」という理念の基で現地採用者の採用判断をしていると述べられておりました。
他の工場はわかりませんが、工場の生産管理、物流、人事は経験がなくても採用されます。ただし、前職を身につけたスキル、仕事への取組に対する考えをしっかりと持ち合わせて、留学中には希望職種の専門書籍でその分野の知識を勉強しておくのが良いと思います。
企業は管理職を求めている
駐在員と中国人スタッフとの間に入り適切な言語を駆使して “マネジメントの橋渡し”、そして自らが 部下の “マネジメント” を行う事こそが駐在員に求められたスキルです。
マネジメントの橋渡し
なぜ現地採用の日本人を必要としているのか結論から申しましと、言葉と仕事に対する思考が大きく異なり駐在員のみで大勢の中国人スタッフを管理する事は不可能です。そこで工場のトップにはベテランの駐在員をおき、各部門の責任者に日本での社会人経験があり、留学による長期滞在で中国人の思考も多少なり理解している日本人を中間管理職として“マネジメントの橋渡し”をするのが目的です。
私の就職した工場は製造部、物流、人事、施設管理の各部門のそれぞれに現地採用の日本人を責任者ポストしておりました。私より以前に入社した現地採用の日本人は合計で6名、駐在員は6名が在籍しており、各部門下の組織に2600名の中国人スタッフが就業している大規模工場です。
現地採用者は就任時点ですぐに幹部スタッフとなり、自部門の組織下多数の中国人スタッフをまとめる必要があります。工場の花形部門である製造部、品質管理部門に日本語が堪能な中国人幹部スタッフが3名所属しているだけなので、日本人同士の会議、業務連絡以外は全て中国語での業務となります。
マネジメントができる!またはその候補こそ求める人材
工場長から教示された言葉を引用しますと「メンテナンスは誰にでもできる!しかしマネジメントは誰でもできるわけではない・・・」要するにすぐに到達しなくてもいいが、目指してもらいたい “ポジション” はここにあるわけです。
私も当てはまりましたが、20代後半から30代前半の方の大半は管理職ポストでのマネジメント経験は無いか、あっても浅い期間のはずです。そこで私は採用面接の際には仕事に対する「責任感」と「積極性」をアピールしました。
留学中に何をすれば良いのか
では、留学期間中に何ができるのか? というと自分の好きな古典的ベストセラーのマネジメントに関連するビジネス書を持参して勉強の合間に読む! たったこれだけの事か!と拍子抜けされたと思いますが、これが仕事から離れてもその感覚を鈍らせない一番簡単な方法です。
私はデールカーネギーの「人を動かす」とドラッカーの「マネジメント」が特に好きなので留学先に持参して読んでおりました。
今は電子書籍、オーディオブック、読み放題サービス等がありますので、かさ張る紙の本を持参しなくても良い便利な時代です、留学中の自由時間の一部にビジネス書の読書も取り入れて下さい。
まとめ
中国留学や現地採用者の経験談はまだまだ多くはありません。私が留学した2001年当時の現地採用者の情報はあまりなく、向こう見ずで若さと勢いだけで中国に飛び出しました。
20年前の経験など参考になるか・・・と思われるでしょうが、当時私の採用にも関わった直属の駐在員上司は1980年代に広州に留学して20年もの間中国に滞在しているのです。
時代が変わっても企業が求める人材像は普遍的に大きい変化はないはずです。
私の場合留学期間中は語学スキルの向上にしか目が向きませんでしたが、ぜひ自身の「専門スキル」、「マネジメントスキル」についても着目して下さい。